コーリン鉛筆の製造記号の謎(2)

 鉛筆には印刷のほかに、線刻で記号のようなものが彫られていることが多いですが、かつてのコーリン鉛筆の刻印の謎についてちょっとだけ考えてみようというコーナーです。

 私の持っている様々なコーリン鉛筆を眺めること半日、ある結論に達しました。(ただし、一愛好家の推測であって、関係者からすべての面で了承が得られたものではありません。独自研究っぽいものとお考えください。)

 



 協力工場の記号について

X・・・コーリン鉛筆直営の工場(現・常総市にかつて存在した)
S・・・柴田鉛筆(鉛筆下請け最大手)
Y・・・谷中鉛筆(コーリン鉛筆初代工場長の独立して興した会社)
C・・・コロナ鉛筆
K(U)・・・桐野鉛筆製作所
W・・・ウエルビー鉛筆


 刻印あるいは記号が鉛筆に直接示されるようになったのは、おそらく昭和26年にJIS認可工場となった以降くらいではないかと考えている。(JIS記号があって、製造刻印がないものも存在するので途中から打ち始めたのかもしれません。)


第一期

・・・昭和26年頃から?。刻印が現代のように切り込みの線刻ではなく、やや太めの文字の圧刻である。文字のサイズも大きい。二桁のアルファベットと一桁あるいは二桁の数字で構成される。


第二期

・・・昭和29年頃から。文字のサイズが大きいものから、現在の鉛筆のように小さい字の線刻へと移行。三桁のアルファベットと三桁の数字で構成される。第一期同様、西暦と和歴が混在し判読が難しい。
 私の判読法によると高橋真琴さんは昭和33年からの商品にイラスト提供していることになる。この一・二期についてはまだ、不明点が多く正確な時期の特定は難しい。


第三期

 理論上昭和45年から始まる記号。アルファベットが二桁、あるいは三桁で表記される。数字は原則的に使用されない(色鉛筆には数字が使われる)。アルファベット二桁のものはコーリン鉛筆の自社工場製で、一桁目が製造年、二桁目が製造月である。昭和45年を「A」とし、昭和56年の「L」で終了(昭和57年も存在するかもしれない)。月は「A」を一月として「B」が二月・・・という割り付けがされる。三桁あるものは協力工場製で、一番最初の一桁が工場の頭文字である。

判読例

YCE・・・「谷中鉛筆・昭和47年・5月」NO295・怪傑ライオン丸。
怪傑ライオン丸の放映期間は、1972年(昭和47年)4月1日から1973 年(昭和48年)4月7日。放送翌月には製造されていたことになる。

CDF・・・「コロナ鉛筆・昭和48年・6月」NO258・おもちゃ屋ケンちゃん。
おもちゃ屋ケンちゃんの放映期間は、1973年3月8日 - 1974年2月28日放送。放送開始から3ヶ月後には製造されていたことになる。

・・・放映期間はフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』による。


第四期

 昭和57年に工場を当時の茨城県水海道市に移転したことに始まると思われる記号である。一桁のアルファベットとゼロから始まる二桁の数字、そして最後に製造月を表すアルファベットで終わる。理論上昭和56年を「01」とする。平成元年の「09」で終わる。新工場の稼働年というよりは、西暦の下一桁をとったのかもしれない。諸説あるが、サンリオ、タカラなどの著作権を示す西暦と一致し、数百に及ぶサンプルで第五期との関係を考慮したので間違いないと思う。

(例)「X03A」・・・「X・・・自社工場」「03・・・昭和58年」「A・・・1月」。


第五期

 平成2年から始まる。読み方は第四期と変わらないが数字の部分が西暦下二桁に入れ替わる。「90・・・平成2年」で始まり、「97・・・平成9年」で終わる。

記号「K」が途中から「U」に置き換えられた理由は不明とのことだが、コーリン自社工場製の「X」刻印に不鮮明なものが一部存在し、「K」と紛らわしいために変更になったのではないかと私は考えている。

(例)「Y96I」・・・「Y・・・谷中鉛筆工場」「96・・・平成8年」「I・・・9月」。

H20.08.24

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