コーリン鉛筆の製造記号の謎

 鉛筆には印刷のほかに、線刻で記号のようなものが彫られていることが多いですが、かつてのコーリン鉛筆の刻印の謎についてちょっとだけ考えてみようというコーナーです。

 製造メーカーなどでは製造台帳はコンピューター入力されたあと、税務調査などのために定められた期間保管されて一定の時期に破棄されます。十年・二十年前の製造機号が知りたいといわれても規則性のあるものを除きわけがわからないことが多いのではないかと私も思います。ましてや10年以上前に倒産してしまった会社の商品記号は務めていた方の記憶くらいしか頼りになるものがありません。したがって、ここに書かれている大半のことは推測にすぎないわけですが…。

 



 211-F1

これは私が実際に使用していた鉛筆の使いかけの残りです。子供のころ使用したコーリン鉛筆というと個人的にはまずこれが思い浮かびます。


 「K02K」という記号が記されています。最初の「K」は「ある協力工場」を意味しています。「02」は「年」、最後の「K」が月だと思うのですが、どうもおかしいのです。数字の部分が「91」は1991年で間違いないと思うのですが、一時的に「0」から始まる二桁が配布されたようでこれが厄介なのです。一説によれば「平成○年」のことではないかということですが、時代が合わないのです。平成2年というと私は高校生なのですが、F1の「かきかた鉛筆」は小学時代に使うものです。かなりギャップがあります。写っている車はフォードの支援を受けたザクスピードというドイツのレーシングチーム?のようですが、1980年代のF1ではなく、ルマンなど耐久レースで使用された車体ではないかと思います。(まちがってるぞコーリンさん!)ロゴのほうは左向きなので昭和57年以降ということになります。でもバーコードがないので90年代ではないでしょう。


この鉛筆は、近年入手したもの。オーストラリア人などに人気の観光スポットに程近い釣り具店で入手。まったく釣り具が中心でしたが、もと雑貨を扱っていたような雰囲気の店だったので奥さまに話を聞いたところ、文具を扱っていた時代の残りを譲ってくださいました。

これも記号が平成だとすると、上の「X09G」は倒産二ヶ月後、下の「X08D」は前年のはずですが、一本40円というのは少し安いような・・・、この手の商品は最後には50円位のはず。それにサンリオの西暦が89年というのも古すぎる。倒産前後なら90年代の表記になっていないと。


 さらに部屋の段ボールの中を物色していると、やはり「コーリン鉛筆カタログ化計画」で取り上げられているフィルム転写の「リカちゃん鉛筆」のと同じ年代の「09」が出現。しかも「I」「J」と平成式に読むと倒産後になってしまう。でも鉛筆は1990年前後のサンリオ商品なのです。

そこで考えたのですが

@新工場・新社屋(新ロゴ使用)に移ってからの年数を表記した。(昭和57年)

A昭和60年代の下一桁を使った。たとえば昭和62年は「02」。「09」は平成6年になる。

@は結構ありかなと自分で思ったものの、フィルム転写の鉛筆が1995年前後からの技術であることを考慮すると、時代が合わなくなってしまう。


 Aの説だと1994年に9月に「リカちゃん鉛筆」が製造されたことになり、ほぼ時代が一致する。うーん、どうなんでしょうか。

H20.08.18

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